「おーい陸遜!」
「甘寧殿?どうしたん…」
「ほらこれ、お前宛の」
「…手紙?誰からですか?」
「それが差出人不明」
「怪しさ満点じゃないですか」
「それがさ、気づいたら船の中に」
「甘寧殿、もしアナタの仕業なら落しますよ」
「落と…」
少し乱暴に封を開けると、中からは一枚の紙切れが出てきた。
なにやら細かく文字が並んでいるのが見える。
「これが諸葛亮先生の仕業だったら恐いですね…」
「あの野郎がンな回りくどいことするわけねぇだろ」
「先生だから、ですよ。あぁ恐い…」
折りたたんである紙を開けば、そこには。
ジャ○ーズ事務所御入隊(?)状。
「……なんですかコレは」
「ジャ○ーズ?なぁジャ○ーズってなんだ?」
「陸遜!!」
あわただしい足音と共に駆けてきたのは周喩だった。
よく見れば、その手には自分と同じ紙切れが握られている。
「…周喩殿もですか」
持っていたものが確実に同じものだとわかり、溜息をつく。
「あぁ。一体なんなんだコレは」
「御入隊ってことぁアレ、なんかの軍隊なんじゃねぇのか?」
「そもそもジャ○ーズって何なんですか」
「コレによれば美少年ハーレムらしいが」
「いや、流石にハーレムは…」
「っつーか、"歌って踊れる美少年達大募集☆是非オーディションに来てね☆"ってどうよ」
「私は美"少年"ではない気が」
「"美"は否定しないんですね」
「"ユーもこれで大人気スター☆"とかなんなんだっていう。ユーってお前」
「なんかもう誰の仕業であれ寒気が…」
ビリビリと破り捨て、ゆらゆら揺れる水面へ散らした。
その頃。
「子桓、お前宛にてが」
「…大方"ジャ○ーズ"だろう」
「それが確かあのナルシストにも」
「馬鹿馬鹿しい。なにが美少年ハーレムだ」
ぐしゃ、と手紙を握り締める。
「あぁ、でも趙雲を取られるのは不愉快だ」
「お前は蜀にまで手を…」
「父よ、今すぐ蜀を潰すのは」
「落ち着け落ち着くのだ子桓。今から長坂だから」
「…よし」
俺様な息子を見つめ、ため息ひとつ。
その後その手紙は絶えることなく送られ続けていたが
誰からのものなのかは誰もわからなかった。