「そういやオレ、査定の為のレポート書いてなかった」

「うわぁそりゃあ大変だね兄さん」

「あぁ大変さだから大佐に手伝ってもらうんだよ今から」

「兄さん、人の都合というものを考えたことはおありで?」

「あぁあるさけど奴は特別だ、有無も言わせず従わせるから問題ナッシング」

「きゃぁー兄さんったら鬼畜ってか外道…主人公の風上にも置けないNE☆」

「あはは、そうかそうか後で覚えてろよテメェ」

「うん返り討ちにしてやるからそっちこそ覚悟しとけ?」

「さぁて行ってくるかー」

「あぁボクも行くよ兄さん」

「ありがとう弟よお前がいると何故だろう何も恐くない気がする」

「ありがとう兄さん嬉しいよそう言ってもらえると」

「遠まわしに褒め言葉じゃないって気付けな?」

「兄さんこれ以上喋るとブチ切れるよボク」

「ごめんなさいとりあえず司令部行こう司令部」




















こんな感じで。




















「あーもーやっと終わったー。大佐アンタ手伝えよ少しは」

「誰が手伝うか今もう自分のことでいっぱいいっぱいだ悪いか」

「威張るなよ少しは減らせ紙束」

「言われるまでもない。だが何だこれは次から次へと溢れてくる此処は何処だ製紙場か」

「知るかよ喋る暇あったら手ェ動かせよ」

バサ、と書き上げた紙を綺麗に重ねる。

と、見えた光景に動きを止めた。

「アルフォンス君?」

「なに兄さん」

「お前どこに手ェ置いてんだよ退けろ今すぐ」

「何処に置いてようとボクの勝手でしょ」

「テメェ大佐に触ってんじゃねぇよそこはオレの領域だ」

「領域って」

「いいじゃんか兄弟だろ」

「ンなもん関係ナッシング」

「ねぇ兄さん"共有"って言葉知ってる?」

「ってかオレの"恋人"なんですけど」

「恋人ってお前」

「それがどうした"略奪愛情等"ですが何か」

「ふざけんな今すぐ退けろあの世まで送ってやるぞコラ」

「やってみろ道連れだ共に行こう無限の彼方へ」

「お前某玩具の真似してんなよ微妙だよ」

「なんだよこれでもライオン〇ング五回くらい見たんだからな」

「いやそれこそ"それがどうした"だよ関係ないから」

「どうでもいいがうるさいから出て行け邪魔だ」

「どうでもいいなら言うな」

「うるさい邪魔だ出て行け」

「……」


































此処まで来ると自分たちが何しに来たのかもすっかり忘れて

「どーもお邪魔しました」

「本当だよ」

「テメェ…」

その頃には

「じゃー帰るか」

「うん」

馬鹿みたいにすっきりしてる自分がいて

「あぁそうだ後で返り討ちだった」

「お前まだ覚えて…」

「あはは、嘘だよ嘘」

結局いつも通りなんだと気付く。

「あ、レポート置いてきた」

「いいじゃん別に。どうせ査定の時出すんだし」

「バカお前大佐が燃やすに決まってる」

「そこまで破廉恥な人じゃないでしょ…」

「どうだか。あれでも"放火がしたい"と素でいう奴だぞ」

「うわそれ破廉恥罪に問われるんじゃ」

「それオレも言った。そしたら」

「そしたら?」

「……なんだったかな。忘れた」

「何それもう老化が」

「始まって堪るかオレまだ現役高校生よ」

「行ってないくせに」

「少しだけ口を閉じてくれると嬉しいんですが?」

「ほんはほほひはっへ、ほふはひひふほひっははへはほ」

「ごめんちゃんと喋って余計ストレスが溜まるから」

「矛盾してるよ兄さん」

「あーもーオレが悪かった!だからもういい喋るな」

「ひど…」

「愚痴も文句も宿で聞く!とりあえず戻るのが先」

「はーい」

この夕日が見える景色も

矛盾だらけのおかしな会話も

兄と弟が逆転した身長差も

なにもかもが

いつも通り、なのだと

「あーあ、今何言おうとしたか忘れちゃった」

「言う前からってすごいなお前」

「でしょ?ボクもびっくり」

ただ違うのは

「これも全て腹が減るからだよ」

「生理的現象?」

「そうそう」

「嘘付け…」

数センチという身長差と

こもっていない声と

暖かい体温と

鉄の臭いがしない身体と

それから、それから。































「こんちわ大佐レポート返せ」

「置いていっておいてその態度とは如何なものか…」

「つべこべ言うなとりあえず返せ」

「…っていうかいつまで"国家"錬金術師でいるつもりだ?」

「え?」

「お前にはもう意味が無いだろう?(いい加減ウザイんだが」

「えーでもやっぱ研究とかしてたいし」

「色んな文献読めるのは得だよね」

「そうそう。それに」

ペンを握る腕を握られ顔を上げる。

「大佐…達、と一緒にいられるし」

「わー兄さん何気にセクハラだよボクもやる」

「やめろよこれオレの特権だぞ」

「残念これがボクのキャラなんで」

「この悪魔め…」

「大いに結構。人は皆ボクを子悪魔と呼ぶ」

「ンな可愛いもんじゃないだろ。お前にはゴブリンが丁度いい」

「後でちょっとお仕置きね兄さん」

「そして鬼畜キャラ。お前最強」

「兄さんをも組み敷くからね」

「こらこらさらっと危ない発言をしない」

馬鹿みたいなこと言って

「いや勿論大佐もですけど」

「そんな補足要らない」

「確かに。ってか"も"って誰だよ。オレか」

「うん」

「うわーこれちょっとどうしよう」

「寧ろお前らがどうしよう」

何故かわからないけど面白くて

「って言うか仕事しろっていう。中尉がお冠ですぜ旦那」

「手伝え」

「無理」

「無理じゃない手伝えそしたら何でも言うこと聞いてやる」

「任せろ」

「餌付けって汚いよね…」

「とか言いつつ手伝ってる辺りすごいと思うよお前も」

「だって何でも言うこと聞くんでしょう?」

「…今悪寒が」

「大丈夫大佐オレもだから」

気付けば皆笑ってたりして

「あー、なんか腹筋が痛い」

「いやありえないから」

「事務仕事で腹筋使うって相当すごいぞ」

「うんオレもびっくり」

結構、これでも楽しかったりするのが

「ほら兄さんインク付いてるよ顔に」

「うわ!!綺麗な顔が台無し!!」

「自分で言うか?それ以前に男が綺麗って…」

「大丈夫ですよ大佐も綺麗ですから」

「何気にナンパすんな」

「それよりそれのどこか大丈夫なんだ」

「あはは、とりあえず仕事しましょう大佐」





































――――――――こんな感じの日常。